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医療機器のクラス分類とは?各クラスの違いや規制のポイントを解説
はじめに
医療機器は、患者の診断・治療・予防などに使用されるため、安全性が非常に重要です。そのため、日本では 薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律) に基づき、医療機器のリスクに応じた クラス分類 が行われています。
本記事では、医療機器のクラス分類の概要や具体的な分類基準、各クラスの規制の違い について詳しく解説します。
1. 医療機器のクラス分類とは?
クラス分類の目的
医療機器のクラス分類は、使用時のリスク(人体への影響の大きさ)に基づき、適切な規制を行うことを目的としています。リスクの高い機器ほど、厳格な承認や審査が必要になります。
クラス分類の基準
医療機器のクラスは、リスクの程度によって 4つのクラス に分けられます。
- クラスI(一般医療機器) :人体へのリスクが極めて低い
- クラスII(管理医療機器) :人体へのリスクが比較的低い
- クラスIII(高度管理医療機器) :生命に影響を与える可能性がある
- クラスIV(高度管理医療機器) :生命の維持に不可欠で、重大な影響を及ぼす可能性がある
この分類は、厚生労働省 や 医薬品医療機器総合機構(PMDA) が定めており、該当するクラスによって規制の厳しさが異なります。
2. 各クラスの詳細と具体例
クラスI(一般医療機器)
リスクレベル:極めて低い
このクラスに分類される医療機器は、人体への影響がほとんどないものです。特別な許認可や認証は必要なく、届出のみで販売可能です。
具体例
- 体温計
- マスク
- ガーゼ
- 手術用手袋
規制のポイント
- 届出のみで販売可能(PMDAへの審査は不要)
- 製造業者・販売業者の自己責任で管理
クラスII(管理医療機器)
リスクレベル:比較的低い
人体への影響がある程度あるため、第三者機関(登録認証機関) の認証を受ける必要があります。
具体例
- 電動式血圧計
- コンタクトレンズ
- 超音波診断装置
- 吸入器
規制のポイント
- 認証制度 が適用され、登録認証機関の審査を受ける必要がある
- PMDAの審査は不要だが、規制が強化されている
クラスIII(高度管理医療機器)
リスクレベル:生命に影響を与える可能性がある
このクラスに分類される機器は、使用を誤ると生命や健康に影響を与える可能性があるため、PMDAの審査が必須 となります。
具体例
- 人工透析器
- 人工呼吸器
- 心電計
- カテーテル
規制のポイント
- PMDAの承認が必要
- 使用者の安全管理が重要で、適切な使用方法が求められる
クラスIV(高度管理医療機器)
リスクレベル:生命維持に不可欠で、重大な影響を及ぼす可能性がある
このクラスに該当する機器は、生命を維持するために必要不可欠で、誤作動が致命的になる可能性がある ため、最も厳しい規制が適用されます。
具体例
- ペースメーカー
- 人工心臓弁
- 人工心肺装置
- ICD(植込み型除細動器)
規制のポイント
- PMDAの承認が必須
- 製造販売後の使用状況の監視(市販後調査)が求められる
- 重大な安全管理対策が必要
3. 医療機器クラス分類と承認・認証の流れ
医療機器の販売には、承認・認証・届出 のいずれかの手続きが必要です。
クラス | 審査・承認 | 主な規制 |
---|---|---|
クラスI | 届出のみ | 低リスクのため、自己責任で販売可能 |
クラスII | 認証 | 登録認証機関の認証が必要 |
クラスIII | 承認 | PMDAの審査・承認が必要 |
クラスIV | 承認 | 最も厳しい審査が必要 |
承認・認証のフロー
- クラス分類の確認 :対象となる医療機器がどのクラスに該当するか確認
- 届出・認証・承認の申請 :クラスに応じた手続きを進める
- 審査 :登録認証機関またはPMDAの審査を受ける
- 販売開始 :承認または認証を取得後、市場に流通
まとめ
医療機器は、リスクの程度に応じて クラスI〜IV に分類され、それぞれ規制の厳しさが異なります。
- クラスI :届出のみで販売可能(体温計、マスクなど)
- クラスII :登録認証機関の認証が必要(血圧計、コンタクトレンズなど)
- クラスIII :PMDAの承認が必要(人工透析器、心電計など)
- クラスIV :最も厳しい審査が必要(ペースメーカー、人工心臓弁など)
医療機器を取り扱う企業や医療関係者は、自社の製品がどのクラスに分類されるかを把握し、適切な手続きを行うことが重要です。