公共用物使用許可とは?造成・建築で見落とされやすい重要手続きを解説

公共用物使用許可とは?造成・建築で見落とされやすい重要手続きを解説

土地造成や建築計画を進める中で、

  • 「公共用物使用許可が必要かもしれないと言われた」
  • 「道路や水路のことで役所に相談するように言われた」
  • 「排水を側溝に流すだけなのに手続きが必要なの?」

このような場面に直面する方は少なくありません。

公共用物使用許可は、
開発許可や建築確認と比べると認知度が低く、
計画がかなり進んだ後になって初めて問題になるケースが多い手続です。

しかし、見落としたまま工事を進めてしまうと、

  • 工事の中断
  • 原状回復の指示
  • 追加工事や余計な費用の発生

といったリスクにつながることもあります。

本記事では、「公共用物使用許可とは何か」「どのような場面で必要になるのか」を実務上の注意点を整理して解説します。

公共用物使用許可とは何か

公共用物使用許可とは、道路・水路・河川などの公共用物を、私的な目的で使用するために必要となる行政上の許可です。

公共用物とは、本来、

  • 一般の公衆が利用するためのもの
  • 行政が管理する共有財産

であり、個人や事業者が自由に使えるものではありません。

そのため、

  • 構造を変更する
  • 一部を専用的に使う
  • 設備や構造物を設置する

といった場合には、管理者の許可を得ることが前提になります。

造成や建築に関係する公共用物使用許可は、
「工事のためにちょっと使うだけ」
「今まで黙認されていた」
といった感覚で進めてしまい、後から問題になることが多いのが特徴です。

公共用物使用許可と道路使用許可の違い

公共用物使用許可は、道路使用許可と混同されやすい手続の一つです。
しかし、両者はまったく別の制度です。

道路使用許可

  • 警察署が管轄
  • 道路交通法に基づく許可
  • 主に「交通への影響」を判断
    • 工事による交通規制
    • 道路上での作業
    • クレーン作業のための車線規制

公共用物使用許可

  • 道路管理者や水路管理者が管轄
  • 道路法・河川法・自治体条例などに基づく許可
  • 「公共物を使ってよいか」を判断
    • 道路への乗入れ
    • 側溝や水路の使用
    • 構造物の設置や接続

実務では、「警察の道路使用許可は取ったが、管理者の許可が抜けていた」というケースも珍しくありません。

警察の許可=公共用物の使用が認められたわけではないという点は、特に注意が必要です。

どのような場合に公共用物使用許可が必要になるのか

造成・建築・土地利用において、公共用物使用許可が問題になりやすい代表的なケースは次のとおりです。

  • 敷地への乗入れ口を設ける
    (歩道や縁石の切下げ、車両出入口の新設)
  • 排水管を道路側溝や公共水路へ接続する
  • 擁壁・フェンス・配管が公共用物に接する、または越境する
  • 工事用車両が里道(いわゆる赤道)を通行・使用する
  • 仮設物(足場・仮囲い等)が道路や水路にかかる

これらは、計画段階では「些細なこと」に見える場合もあります。
しかし、公共用物に関わる以上、無許可で行うことはできません。

無許可のまま進めてしまうと、

  • 是正指導
  • 使用中止
  • 原状回復

を求められる可能性があります。

盛土規制法・開発許可との関係

公共用物使用許可は、単独で問題になるというより、他の許認可とセットで必要になることが多い手続です。

盛土規制法との関係

盛土規制法では、造成に伴う排水計画の安全性が重要な審査ポイントになります。

  • 排水先が公共水路
  • 道路側溝へ雨水を流す
  • 調整池から公共施設へ放流する

といった場合、
公共用物使用許可が取得できていることが前提条件になるケースがあります。

盛土規制法の審査が進んでから
「排水先の使用許可が未整理だった」
と判明すると、計画の修正が必要になることがあります。

開発許可との関係

開発許可申請では、

  • 適法な接道があるか
  • 排水施設が確保されているか

が重要な審査項目です。

道路や水路を利用する計画で、公共用物使用許可の整理ができていないと、

  • 追加資料の提出
  • 計画変更
  • 審査の長期化

につながることがあります。

公共用物使用許可で注意すべきポイント

(1)管理者の特定が難しい

同じように見える道路や水路でも、

  • 市町村管理
  • 都道府県管理
  • 国管理

と管理者が異なる場合があります。

さらに、

  • 形式上は道路だが、実は里道
  • 昔の水路がそのまま残っている

といったケースもあり、
管理者を誤ると申請そのものがやり直しになります。

(2)自治体ごとに運用が大きく異なる

公共用物使用許可は、全国一律の様式・運用ではありません。

  • 必要書類
  • 添付図面の内容
  • 技術的な基準
  • 使用料・占用料の有無や算定方法

などは、自治体ごとに異なります。

(3)工事後の申請はリスクが高い

公共用物使用許可は、原則として工事前に取得するものです。

工事完了後に無許可が判明すると、

  • 原状回復
  • 追加工事
  • 使用の中止

を求められる可能性があります。

造成や建築は、「後から直す」ことが難しい工事が多いため、計画初期での整理が極めて重要です。

公共用物使用許可と行政書士の役割

公共用物使用許可は、

  • 構造計算や施工技術
  • 建築設計

そのものよりも、

  • 許可要否の判断
  • 管理者の特定
  • 行政窓口との調整
  • 申請書・図面の整理

といった行政手続・法令整理が中心となる分野です。

行政書士が関与することで、

  • 見落としやすい許可の洗い出し
  • 他の許認可との整理
  • 行政との調整の一本化

が可能になり、造成・開発・建築全体の見通しを立てやすくなります。

まとめ

公共用物使用許可は、
道路や水路といった身近な公共施設が関係するため、
見落とされやすい一方で、後から問題になりやすい手続です。

造成工事や建築計画では、

  • 盛土規制法
  • 開発許可
  • 建築確認

とあわせて、公共用物を使用する可能性がないかを早い段階で確認することが重要になります。

公共用物使用許可の要否や進め方は、自治体ごとの運用や個別事情によって異なり、自己判断が難しい分野でもあります。

「この計画で公共用物使用許可が必要か分からない」
「どこに相談すればよいか判断がつかない」

そのような段階からでも、計画初期の整理として相談することで、後戻りや無駄なコストを防ぐことができます。

造成・建築・土地利用を検討する際は、ぜひ一度、公共用物使用許可の視点も含めて全体を整理してみてください。