目次
- 市街化調整区域で農地転用が難しい理由とは-農地転用が認められにくい制度構造を整理して解説-
市街化調整区域で農地転用が難しい理由とは-農地転用が認められにくい制度構造を整理して解説-
はじめに
農地転用について調べていると、
「市街化調整区域では農地転用が難しい」
という説明を目にすることが多くあります。
しかし、
- なぜ難しいのか
- どの段階で制限がかかるのか
- 農地のランクが原因なのか
といった点まで、
体系的に説明されている情報は多くありません。
市街化調整区域で農地転用が難しいのは、
単に「規制が厳しいから」ではなく、
複数の制度が重なって土地利用を制限している
という構造的な理由があります。
本記事では、
- 市街化調整区域とはどのような区域か
- なぜ農地転用が原則として認められにくいのか
- どの制度が、どの段階で制限しているのか
を整理し、
市街化調整区域で農地転用が難しい理由を
制度面から解説します。
市街化調整区域とは何か
市街化調整区域は、
都市計画法に基づき、
- 市街化を抑制すべき区域
として定められた区域です。
都市計画法では、
無秩序な市街化を防止し、
計画的な都市形成を行うため、
- 市街化区域
- 市街化調整区域
という区分(いわゆる線引き)を設けています。
このうち市街化調整区域は、
原則として新たな建築や開発を行わないこと
を前提とした区域です。
市街化調整区域に農地が多い理由
市街化調整区域には、
農地が多く残されているのが一般的です。
これは偶然ではなく、
- 市街化を抑制する
- 農地や自然環境を保全する
という政策目的が重なっているためです。
その結果、市街化調整区域では、
- 農地として利用されている土地
- 農用地区域に指定されている土地
が多く存在します。
市街化調整区域で農地転用が難しい理由①
都市計画法が「市街化を抑制する」区域だから
市街化調整区域で農地転用が難しい最大の理由は、
都市計画法の基本方針にあります。
市街化調整区域は、
- 建物を建てること
- 市街地を広げること
自体を抑制する区域です。
農地転用の多くは、
- 住宅を建てる
- 駐車場や事業用地にする
といった、
市街化につながる行為です。
そのため、市街化調整区域では、
農地転用の時点で
「区域の方針に反するのではないか」
という判断が常に伴います。
市街化調整区域で農地転用が難しい理由②
農地法と都市計画法の規制が重なる
市街化調整区域の農地では、
- 農地法による規制
- 都市計画法による規制
が同時に適用されます。
農地法では、
- 農地を農地以外に使ってよいか
を判断します。
一方、都市計画法では、
- その場所で建築や開発をしてよいか
を判断します。
この二重の規制により、
- 農地転用が許可されても建築できない
- 建築の見込みがあっても農地転用が不許可
といった状況が生じます。
市街化調整区域で農地転用が難しい理由③
農地のランクが高いケースが多い
市街化調整区域内の農地は、
- 甲種農地
- 第1種農地
といった、
農業上重要度の高い農地
に該当することが多くなります。
これらの農地は、
農地法上も
- 原則不許可
とされており、
農地転用のハードルが高くなります。
つまり、市街化調整区域では、
- 都市計画法上の制限
- 農地法上の立地基準
という二重の理由から、
農地転用が難しくなります。
市街化調整区域で農地転用が難しい理由④
農用地区域が重なっていることが多い
市街化調整区域内には、
農用地区域が指定されている土地も多くあります。
農用地区域内農地は、
- 将来にわたり農業利用を確保すべき土地
として、
最も強く保護される農地です。
この場合、
- 農振除外
- 農地転用許可
- 都市計画法許可
という複数の判断を
すべてクリアしなければなりません。
この点も、市街化調整区域で
農地転用が難しい大きな要因です。
市街化調整区域で農地転用が難しい理由⑤
「例外的に認める」制度設計になっている
市街化調整区域では、
農地転用や建築は、
- 原則として認めない
- 例外的に認める
という制度設計が取られています。
分家住宅や農家住宅など、
一定の類型が認められるのも、
例外規定によるものです。
そのため、
- 一般住宅
- 投資目的
- 事業用施設
といった用途では、
原則から外れる理由を
明確に説明する必要があります。
市街化調整区域でも農地転用が認められるケースがある理由
市街化調整区域であっても、
すべての農地転用が不可能というわけではありません。
これは、
- 例外規定が設けられている
- 地域の実情を考慮する余地がある
ためです。
ただし、これらはあくまで
制度上の例外であり、
通常の市街化区域と同じ感覚で
判断することはできません。
市街化調整区域で誤解されやすいポイント
周囲に家が建っているから大丈夫という誤解
周囲に建物がある場合でも、
- 対象地が市街化調整区域
であれば、
原則的な制限は変わりません。
長年使っていない農地だから転用できるという誤解
耕作されていない期間の長短は、
市街化調整区域における
農地転用の可否を直接左右しません。
分筆すれば転用しやすくなるという誤解
分筆の有無は、
市街化調整区域での
農地転用の可否に
直接影響するものではありません。
市街化調整区域の農地転用で重要になる視点
市街化調整区域で農地転用を検討する場合は、
- 農地のランク
- 農用地区域の有無
- 建築の可否
- 都市計画法上の例外に該当するか
といった点を、
個別に整理する必要があります。
いずれか一つでも要件を満たさない場合、
計画全体が成立しなくなります。
まとめ
市街化調整区域で農地転用が難しいのは、
- 市街化を抑制する区域であること
- 農地法と都市計画法の規制が重なること
- 農地のランクが高いケースが多いこと
- 農用地区域が指定されていることが多いこと
といった、
制度構造上の理由によるものです。
市街化調整区域では、
- 原則不許可
- 例外的に認める
という前提で制度が設計されているため、
市街化区域と同じ感覚で
農地転用を考えることはできません。
農地転用を検討する際は、
対象地が市街化調整区域かどうかを確認し、
どの制度がどの段階で制限しているのかを
整理することが重要になります。