開発許可と農地転用の関係性を徹底解説―「どちらが先?両方必要?」で迷わないための実務ガイド―
土地活用や不動産開発を検討する際、
農地を含む土地では必ずと言っていいほど、次の疑問に直面します。
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開発許可と農地転用は、どちらが先なのか
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そもそも両方必要なのか
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農地転用だけ取れば建築できるのではないか
実務ではこの関係性が正しく理解されていないことが多く、
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「農地転用は取れたのに、建築が進まない」
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「開発許可が先だと思っていたら、農地転用が必要だった」
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「順番を間違えて手戻りが発生した」
といったトラブルが頻発しています。
本記事では、
開発許可と農地転用の役割の違い、両者の関係性、判断の順序、実務上の注意点を、
初めての方でも全体像がつかめるよう、体系的に解説します。
1.開発許可と農地転用は「別の制度」
まず最初に押さえておくべき重要なポイントは、
開発許可と農地転用は、目的も根拠法令も異なる、まったく別の制度
であるという点です。
混同されやすい理由は、
どちらも「建築や土地利用に関係する手続き」だからですが、
実務上の役割は明確に分かれています。
2.開発許可の役割とは何か
開発許可は、
建築物の建築を目的として土地を造成・区画する行為が、都市計画上適切かどうか
を判断する制度です。
主に見られるポイントは、
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道路や排水などのインフラが適切か
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周辺環境に悪影響を与えないか
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無秩序な市街化を招かないか
といった 「まちづくり・都市計画の視点」 です。
つまり、
「その土地で、その規模・形態の開発をしてよいか」
を判断するのが開発許可です。
3.農地転用の役割とは何か
一方、農地転用は、
農地を農地以外の用途に使ってよいかどうか
を判断する制度です。
農地転用で見られるのは、
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その農地が農業上どれほど重要か
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他に代替できる土地がないか
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農地として保全すべきか
といった 「農地保全の視点」 です。
ここで重要なのは、
農地転用は「建築の可否」や「造成の可否」を直接判断する制度ではない
という点です。
4.なぜ両方の手続きが必要になるのか
農地を含む土地で建築を行う場合、
多くのケースで 「開発許可」と「農地転用」の両方が必要 になります。
理由は単純で、
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開発許可 → 都市計画・土地利用の適否
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農地転用 → 農地をやめてもよいか
という 判断軸が異なる からです。
どちらか一方だけでは、
もう一方の問題をカバーできません。
5.農地転用を取れば開発許可は不要なのか?
結論から言うと、
農地転用を取得しても、開発許可が不要になるわけではありません。
農地転用はあくまで、
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「農地として使わなくてもよい」
という許可に過ぎず、
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造成してよい
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区画してよい
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建築してよい
という意味までは含みません。
そのため、
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農地転用は済んでいる
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しかし開発行為に該当する
というケースでは、
別途、開発許可が必要になります。
6.開発許可を取れば農地転用は不要なのか?
こちらもよくある誤解ですが、
開発許可を取得しても、農地転用が不要になることはありません。
土地が農地である以上、
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農地を農地以外に使う
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宅地・駐車場・事業用地にする
のであれば、
農地転用の手続きは必須です。
つまり、
開発許可と農地転用は、互いに代替できない
という関係にあります。
7.開発許可と農地転用の「順番」はどうなるのか
実務で最も混乱しやすいのが、
「どちらを先に進めるのか」 という問題です。
原則的な考え方
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開発計画の内容を固める(全体像)
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開発許可の要否・可否を確認
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農地転用の可否を確認
という流れで整理します。
ただし、申請の実務では、
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開発許可が前提条件になる農地転用
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農地転用の見込みがないと進められない開発許可
というように、
両者が連動して審査されることが一般的です。
8.「同時進行」になるケースが多い理由
実務では、
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開発許可の事前相談
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農地転用の事前相談
を 並行して進める ケースが多くなります。
なぜなら、
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開発許可が見込めない土地で農地転用だけ進めても意味がない
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農地転用が認められない土地で開発計画を詰めても無駄になる
からです。
どちらか一方だけ先行させるのではなく、全体計画として整合が取れるか
を同時に確認するのが、実務上のセオリーです。
9.農地転用が絡むと難易度が上がる理由
農地転用が絡む案件は、
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手続きが一つ増える
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審査期間が長くなる
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不許可リスクが高くなる
という特徴があります。
特に、
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農地としての評価が高い
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代替地があると判断される
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開発規模が大きい
といった場合、
農地転用が最大のボトルネックになることも少なくありません。
10.よくある失敗パターン
失敗例① 農地転用だけ先に進めた
農地転用の内諾を得た後で、
開発行為に該当することが判明し、
追加で開発許可が必要になったケース。
結果として、
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計画変更
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スケジュール遅延
が発生します。
失敗例② 開発計画が農地転用の前提と合っていない
開発計画上は宅地化しているが、
農地転用の審査では「過剰な造成」と判断され、
転用が認められなかったケース。
11.行政が見ている共通のポイント
開発許可と農地転用は別制度ですが、
実務では共通して次の点が見られます。
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土地利用の合理性
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周辺環境への影響
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計画の実現性
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将来の土地利用の整合性
そのため、
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開発計画と転用計画の内容が食い違っている
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説明に一貫性がない
と、
どちらの審査でも不利になることがあります。
12.トラブルを防ぐために重要なこと
開発許可と農地転用が絡む案件で最も重要なのは、
「最初に全体像を整理すること」
です。
具体的には、
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どんな建物を建てたいのか
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どの範囲を造成するのか
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農地はどこまで含まれるのか
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将来の利用計画はどうなっているか
これらを整理したうえで、
両制度の視点から同時に確認することが不可欠です。
まとめ|開発許可と農地転用は「車の両輪」
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開発許可と農地転用は別制度
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どちらか一方では足りない
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農地を含む開発では両方必要になることが多い
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順番よりも「整合性」が重要
開発許可と農地転用は、
どちらが上・下という関係ではなく、土地利用を成立させるための車の両輪です。
農地を含む土地活用を検討する際は、
「農地転用が取れそうか」だけでなく、
「開発として成立するか」
という視点を同時に持つことが、最大のトラブル回避策になります。