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市街化区域と市街化調整区域の違いとは-開発許可・農地転用の前提となる都市計画の基本整理-

市街化区域と市街化調整区域の違いとは-開発許可・農地転用の前提となる都市計画の基本整理-

はじめに

農地転用や開発許可を検討する場面では、
必ずと言ってよいほど次の言葉が出てきます。

  • 市街化区域

  • 市街化調整区域

この2つの違いを正確に理解していないと、

  • 農地転用は届出で足りるのか、許可が必要なのか

  • 建物を建てられる土地なのか

  • 開発許可が必要なのか

といった前提判断を誤ることになります。

本記事では、
都市計画法に基づく市街化区域と市街化調整区域の違いについて、
農地転用・開発許可の実務に直結する形で整理します。


市街化区域と市街化調整区域とは何か

区域区分(いわゆる線引き)とは

市街化区域と市街化調整区域は、
都市計画法に基づく**区域区分(線引き)**によって定められます。

区域区分とは、

  • 無秩序な市街化を防止する

  • 計画的に市街地を形成する

ことを目的として、
都市計画区域を次の2つに分ける制度です。

  • 市街化区域

  • 市街化調整区域

この区分は、
三大都市圏、政令指定都市、県庁所在地などを中心に
多くの自治体で採用されています。


市街化区域とは

市街化区域の定義

市街化区域とは、

  • すでに市街地を形成している区域

  • 概ね10年以内に優先的・計画的に市街化を進める区域

をいいます。

簡単に言えば、
「建物を建てることを前提としている区域」
です。

市街化区域の特徴

市街化区域には、次のような特徴があります。

  • 原則として建築が可能

  • 上下水道や道路などのインフラが整備されている

  • 宅地化・事業利用が想定されている

そのため、
土地利用の自由度は比較的高くなります。


市街化区域における農地転用

市街化区域内の農地については、
農地法上、

  • 許可は不要

  • 農業委員会への届出

で足りるとされています。

これが、
「市街化区域の農地は転用しやすい」
と言われる理由です。

ただし、

  • 都市計画法

  • 建築基準法

  • 条例

など、
他法令の規制がなくなるわけではありません。


市街化区域における開発許可

市街化区域であっても、

  • 一定規模以上の開発行為

  • 宅地造成を伴う開発

については、
開発許可が必要となる場合があります。

「市街化区域=何でも自由」
ではない点には注意が必要です。


市街化調整区域とは

市街化調整区域の定義

市街化調整区域とは、

  • 市街化を抑制すべき区域

  • 原則として新たな建築・開発を行わない区域

をいいます。

都市計画法上、
市街化を「しない」ことを前提とした区域
です。

市街化調整区域の特徴

市街化調整区域には、次のような特徴があります。

  • 原則として建物を建てられない

  • 開発行為は原則不可

  • 農地・自然環境の保全が重視される

農地が多く残されているのも、
市街化調整区域の大きな特徴です。


市街化調整区域における農地転用

市街化調整区域内の農地については、
原則として農地転用には許可が必要です。

しかも、
農地法の許可だけで足りるケースは少なく、

  • 都市計画法による開発許可

  • 建築許可

同時に検討する必要があります。

このため、市街化調整区域では、

  • 農地転用が難しい

  • 時間がかかる

  • 事前調整が重要

とされるのが実務の実感です。


市街化調整区域における開発許可

市街化調整区域では、
開発行為は原則として認められません。

ただし、都市計画法には、

  • 分家住宅

  • 農家住宅

  • 公益性の高い施設

など、
例外的に許可される類型が定められています。

この例外に該当するかどうかが、
市街化調整区域での最大の分岐点になります。


市街化区域と市街化調整区域の違い(整理)

実務上の違いを整理すると、次のようになります。

項目 市街化区域 市街化調整区域
市街化の方針 積極的に進める 抑制する
建築 原則可 原則不可
農地転用 届出 許可
開発許可 規模次第 原則不可(例外あり)
手続難易度 比較的低い 高い

なぜ区域区分の理解が重要なのか

農地転用や開発許可では、

  • 農地のランク

  • 転用目的

  • 資力や計画内容

以前に、
区域区分の時点で可否がほぼ決まるケース
が少なくありません。

特に、

  • 市街化調整区域だと知らずに契約した

  • 農地転用だけで足りると思っていた

といった誤解は、
実務上よく見られます。


非線引き区域との違い

補足として、
区域区分が行われていない自治体もあります。

これを
非線引き区域
と呼びます。

非線引き区域では、

  • 市街化区域/市街化調整区域の区別がない

  • 自治体ごとの運用が重要

という特徴があります。

非線引き区域だからといって
規制が緩いとは限らず、
個別判断が必要です。


区域区分はどこで確認するのか

市街化区域・市街化調整区域の区分は、

  • 都市計画図

  • 市町村の都市計画課

  • Web公開されている都市計画情報

などで確認できます。

登記簿や固定資産税の情報からは、
区域区分は分かりません。


まとめ

農地転用や開発許可を検討する際は、

  1. 市街化区域か、市街化調整区域か

  2. その区域で、何が原則とされているか

  3. 例外があるかどうか

を整理する必要があります。

市街化区域と市街化調整区域の違いは、
農地転用・開発許可のすべての前提条件です。

この違いを正しく理解することが、
制度を誤解せずに進めるための第一歩になります。