目次
切土・盛土とは何かについて解説
はじめに
土地を購入して住宅や建物を建てる際、「切土(きりど)」や「盛土(もりど)」という言葉を耳にすることがあります。
特に、傾斜地や高低差のある土地では、造成工事として切土や盛土が行われるケースが多く、これらの判断は安全性や開発許可の要否に直結します。
しかし実務の現場では、
- 切土と盛土の違いが曖昧
- 少し地面をならすだけなら問題ないと思っている
- 高低差があっても昔から家が建っているから大丈夫だと考えている
といった誤解が少なくありません。
本記事では、提示された図をもとに、
切土・盛土の基本的な考え方、安全性の問題、開発許可との関係、注意すべき具体例を体系的に解説します。
造成を伴う土地活用を検討している方は、必ず理解しておくべき内容です。
図で理解する切土と盛土の基本
提示されている図では、地盤の上に三つの住宅が描かれています。
- 左側:切土
- 中央:盛土
- 右側:切土+盛土
という構成です。
この図は、土地の高低差を調整するための造成方法を非常に分かりやすく示しています。

切土とは何か
切土とは、地盤を削る行為を指します。
傾斜地や高台の土地で、建物を建てるために地面を掘り下げて平らにする工事が典型例です。
図の左側では、もともと傾斜していた地盤を削り、水平な建築敷地を確保している様子が示されています。
切土の特徴は次のとおりです。
- 地盤を削るため、地山の安定性が重要
- 法面(のりめん)の崩壊リスクがある
- 排水計画が不十分だと浸食が進む
一見すると「削るだけなので安全そう」に見えますが、
実際には法面の安定対策や擁壁の設置が必要になることが少なくありません。
盛土とは何か
盛土とは、土を盛って地盤を高くする行為を指します。
図の中央では、周囲より低い部分に土を盛り、建物を建てられる高さまで地盤をかさ上げしています。
盛土は切土以上に注意が必要です。なぜなら、
- 人工的に作った地盤である
- 転圧が不十分だと沈下する
- 地震時に崩壊するリスクがある
からです。
過去の大規模地震でも、盛土造成地の崩落が問題となりました。
したがって、盛土は「安全に見える平地」であっても、十分な設計と施工が不可欠です。
切土+盛土とは何か
図の右側では、地盤の一部を削り、その土を別の場所に盛っています。
これが切土+盛土の造成です。
この方法は、土地全体のバランスを取りながら造成できる反面、
- 切土部分の安定性
- 盛土部分の圧密
- 地盤の不同沈下
といった複合的なリスクを抱えます。
造成計画の中では、最も慎重な検討が求められるケースです。
切土・盛土と開発許可の関係
切土や盛土は、都市計画法上の「形の変更」に該当します。
つまり、建築を目的として一定規模以上の切土・盛土を行う場合、
開発行為に該当する可能性が高いということです。
特に、
- 高低差が大きい土地
- 擁壁を設置する造成
- 一団の土地を計画的に整備する場合
は、開発許可の対象となることが多くなります。
「敷地を少しならすだけ」と思っていても、
実質的に地形を変更している場合は、行政から開発行為と判断される可能性があります。
切土・盛土の安全性のポイント
造成において最も重要なのは安全性です。
切土では、
- 法面の勾配
- 地質条件
- 地下水の処理
が重要になります。
盛土では、
- 転圧の程度
- 盛土の厚さ
- 排水処理
が大きなポイントです。
これらが不十分だと、
不同沈下や崩壊、地震時の滑動といった重大な問題につながります。
よくある誤解
昔から家があるから大丈夫
周辺に古い住宅がある場合でも、
それが適法な造成かどうかは別問題です。
平らに見えるから安全
平坦な土地でも、盛土造成地である可能性があります。
小規模なら許可は不要
規模が小さくても、建築目的で形状を変更すれば、
開発許可や届出の対象になる場合があります。
具体例で考える造成リスク
例えば、傾斜地に住宅を建てるために、敷地の前面を2メートル削り、背面を1メートル盛る計画を立てたとします。
この場合、
- 切土部分は法面保護が必要
- 盛土部分は十分な転圧と排水設計が必要
- 擁壁設置の有無が問題となる
といった検討が必要です。
単に「平らにする」という発想では、安全性を確保できません。
擁壁との関係
切土や盛土で高低差が生じる場合、擁壁の設置が必要になることがあります。
擁壁は、
- 土圧を支える
- 地盤の崩壊を防ぐ
という重要な役割を担います。
擁壁の設計や構造によっては、
宅地造成等規制法や関連法令の適用を受ける場合があります。
切土・盛土を伴う土地購入時の注意点
土地を購入する前に確認すべきポイントは次のとおりです。
- 過去に造成が行われているか
- 擁壁は適法か
- 地盤調査の結果はどうか
- 開発許可の履歴はあるか
これらを確認せずに購入すると、
後から大規模な補強工事が必要になる可能性があります。
まとめ
切土と盛土は、土地を建築可能な状態に整えるための基本的な造成手法です。
しかし、その背後には安全性・法規制・開発許可といった重要な問題が存在します。
図で示されているように、
- 切土は地盤を削る行為
- 盛土は地盤を盛る行為
- 切土+盛土は複合的な造成
であり、それぞれに異なるリスクがあります。
造成を伴う土地活用を検討する際は、
単に「平らにすればよい」という発想ではなく、
安全性と法的適合性の両面から慎重に判断することが不可欠です。
切土・盛土の正しい理解こそが、
安全で持続可能な土地利用への第一歩となります。