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えるぼし認定と補助金の関係を徹底解説。女性活躍推進と資金調達を同時に実現する方法
はじめに
中小企業や小規模事業者にとって、国や自治体の補助金は成長を後押しする大きな支援策です。しかし採択率は決して高くなく、事業計画の内容に加えて「審査加点」を意識した戦略が重要になります。
その中で注目されているのが「えるぼし認定」。
えるぼし認定は女性活躍推進法に基づく制度で、取得していると複数の補助金申請において審査時の加点対象となるのが大きな特徴です。
この記事では、まず「えるぼし認定とは何か」をわかりやすく解説し、そのうえで ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金・中小企業成長加速化補助金・新事業進出補助金 といった主要補助金における加点効果を詳しく紹介します。
えるぼし認定とは?
制度の概要
えるぼし認定は、女性の活躍推進に積極的に取り組む企業を厚生労働省が認定する制度です。2016年に施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」を背景に創設されました。
企業は女性活躍推進に関する行動計画を策定・公表し、実際の取り組み状況を申請すると、厚生労働大臣が審査を行い基準を満たした企業に認定が与えられます。
認定のランク
えるぼし認定は、基準を満たした数によってランク分けされます。
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一つ星:基準を1つ以上満たす企業
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二つ星:基準を2つ以上満たす企業
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三つ星:全ての基準を満たす企業
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プラチナえるぼし:三つ星の上位認定。継続的に高水準の女性活躍推進を行っている企業
認定の基準(5項目)
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採用:男女比に偏りがなく、女性の採用が一定水準以上であること
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継続就業:女性の勤続年数が男性と同等程度であること
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労働時間等の働き方:長時間労働が少なく、柔軟な働き方が可能であること
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管理職比率:女性管理職が一定割合以上であること
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多様なキャリアコース:女性のキャリア形成に多様な選択肢があること
これらを満たすことで認定が与えられ、公式サイトで公開されるほか、認定マークを自社PRに活用することができます。
えるぼし認定のメリット
1. 採用力の強化
女性求職者にとって「えるぼし認定企業」という肩書きは安心材料になります。人材確保が難しい時代に、認定は採用戦略の強力な武器です。
2. 企業イメージ・取引先評価の向上
女性活躍推進に取り組んでいる企業として、取引先や金融機関からの信頼性が高まります。CSRやESG投資の観点からも評価されやすくなります。
3. 補助金申請での審査加点
もっとも実務的に大きなメリットが、補助金申請時に加点対象となることです。競争率の高い補助金において、えるぼし認定を持つかどうかで採択率に差が出るケースが少なくありません。
えるぼし認定が加点対象となる主な補助金
ものづくり補助金
中小企業の新製品開発やサービス高度化のための設備投資を支援する代表的な補助金です。
公募要領には「えるぼし認定企業は加点対象」と明記されています。
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補助上限額:最大1,250万円(回次による)
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加点効果:多数の応募の中で採択率を上げる重要なポイント
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が販路開拓や経営改善を行う際に活用できる補助金で、チラシやホームページ制作、店舗改装など幅広い用途に対応しています。
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補助上限額:原則50万円(特定枠では最大200万円)
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加点効果:応募者数が多いため、えるぼし認定の有無が採択を分ける決定打になることもあります。
IT導入補助金
業務効率化や生産性向上のために会計ソフトや受発注管理システム、ECサイトなどの導入を支援する制度です。
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補助上限額:最大450万円
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加点効果:女性活躍推進と働き方改革の親和性が高く、えるぼし認定企業は審査で優遇されます。
中小企業成長加速化補助金
売上規模の拡大や新規事業への挑戦など、大規模な投資を目指す企業向けの補助金です。
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特徴:金融機関との連携や成長性が重視される
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加点効果:働きやすい職場づくりが評価項目に含まれ、えるぼし認定がプラス評価されます。
新事業進出補助金
新しい市場や分野への進出を支援する制度です。
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対象:新分野展開や新市場開拓
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加点効果:公募要領で「えるぼし認定が加点対象」と明記されており、書面審査で大きなプラスになります。
補助金申請における注意点
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認定は申請時点で取得済みである必要あり
申請中では加点対象外になることが多いので、早めの認定取得が重要です。 -
複数の認定でさらに有利に
えるぼし認定に加えて、くるみん認定、健康経営優良法人、パートナーシップ構築宣言などを取得しておくと、複数加点が可能です。 -
最新の公募要領を必ず確認
補助金は年度や回次ごとに要件が変更されるため、必ず最新の情報をチェックしましょう。
まとめ
えるぼし認定は、女性活躍を推進する企業にとって単なる社会的評価にとどまらず、補助金申請における実務的な武器になります。
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ものづくり補助金
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小規模事業者持続化補助金
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IT導入補助金
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中小企業成長加速化補助金
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新事業進出補助金
これら主要な補助金で加点対象となるため、認定を取得しているかどうかが採択結果に直結することもあります。
企業の成長戦略を考えるうえで、「女性活躍推進+資金調達支援」という二つのメリットを同時に得られるえるぼし認定は、今後ますます重要な制度となるでしょう。