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経営革新計画で資本性劣後ローンは活用できる?中小企業の資金調達に役立つポイントを解説

経営革新計画で資本性劣後ローンは活用できる?中小企業の資金調達に役立つポイントを解説

はじめに

中小企業やベンチャー企業が新しい事業に挑戦するとき、避けて通れないのが「資金調達」です。自己資金だけでは成長投資をまかないきれないケースが多く、金融機関からの融資や補助金を上手に活用する必要があります。

その際に注目されるのが「経営革新計画」と「資本性劣後ローン」です。
経営革新計画は都道府県知事の承認を受ける公的制度で、承認を得ると各種の金融・税制優遇を活用できるようになります。そして、その中でも長期資金調達に大きな力を発揮するのが「資本性劣後ローン」です。

この記事では、

  • 経営革新計画とは何か

  • 資本性劣後ローンの仕組みとメリット

  • 両者を組み合わせることで得られる効果

について、分かりやすく解説していきます。

経営革新計画とは?

制度の概要

経営革新計画とは、中小企業が「新事業展開」や「生産性向上」などの取り組みについて、3年から5年の中期的な計画を策定し、都道府県知事から承認を受ける制度です。

対象となるのは以下のような取り組みです。

  • 新商品の開発や新サービスの提供

  • 新しい生産方式や販売方法の導入

  • 新市場への進出

  • 業務効率化による付加価値向上

承認のメリット

承認を受けることで、以下のような支援措置を利用できます。

  • 日本政策金融公庫の低利融資

  • 信用保証協会の保証枠拡大・保証料軽減

  • 各種補助金申請時の加点評価

  • 税制優遇(中小企業投資促進税制など)

つまり、経営革新計画は「新規事業を後押しするための公的なバックアップ」といえます。

資本性劣後ローンとは?

通常の融資と何が違うのか?

資本性劣後ローン(資本性ローン)とは、日本政策金融公庫などが実施する特別な融資制度です。最大の特徴は、金融機関や保証協会から 「自己資本」とみなされる ことです。

通常の借入金は負債として扱われますが、資本性ローンは「劣後性(返済順位が低いこと)」を持つため、自己資本に近い性格を持ちます。そのため、企業の自己資本比率が改善し、財務内容が良く見える効果があります。

主な特徴

  • 返済期間:5~20年(中小企業では10年~15年が一般的)

  • 返済方法:元金は期限一括返済、それまでの間は利息のみ支払い

  • 利率:業績に応じて変動(利益が出れば利率が上がる仕組み)

  • 保証不要・担保不要で利用可能

この仕組みにより、成長投資や研究開発など「すぐには利益が出ないが長期的に成長する事業」に適しています。

経営革新計画承認と資本性劣後ローンの関係

承認がプラス評価につながる

資本性劣後ローン自体は経営革新計画がなくても利用可能ですが、承認を受けている企業は「将来性」「計画性」が公的に認められているため、審査でプラスに働きやすくなります。

つまり、経営革新計画を承認された企業は、資本性ローンを使った長期資金調達をしやすくなるのです。

活用シーンの例

  • 新規事業立ち上げ:設備投資や人材確保に大きな資金が必要

  • 成長期のベンチャー:自己資本を厚く見せて追加融資を受けやすくしたい

  • 赤字覚悟の研究開発:短期的な利益は出ないが長期的に有望なプロジェクト

このようなケースでは、経営革新計画を承認された上で資本性ローンを活用することで、金融機関や投資家からの信頼を得やすくなります。

実際の活用の流れ

  1. 経営革新計画の申請・承認
    専門家(認定支援機関、税理士、中小企業診断士など)のサポートを受けて計画書を作成し、都道府県に申請。承認までに数カ月かかるのが一般的です。

  2. 日本政策金融公庫へ相談
    承認を得た計画をもとに、公庫へ資本性劣後ローンの相談を行います。

  3. 審査・融資実行
    計画の実現可能性や財務状況を踏まえた上で審査が行われ、融資が実行されます。

まとめ

  • 経営革新計画は、中小企業の新事業挑戦を支援する制度であり、承認を受けると金融・補助金・税制の優遇を受けられる。

  • 資本性劣後ローンは、自己資本とみなされる特殊な融資制度で、長期資金調達に向いている。

  • 経営革新計画の承認を得ることで、資本性ローンを利用する際に審査でプラス評価となり、資金調達の選択肢が広がる。

新しい事業に挑戦する中小企業にとって、経営革新計画と資本性劣後ローンの組み合わせは非常に有効な資金戦略です。資金繰りに悩む経営者の方は、一度専門家に相談してみることをおすすめします。