経営革新計画の承認事例~不動産システムの開発、導入~

経営革新計画の承認事例~不動産システムの開発、導入~

今回は、経営革新計画の事業人事例で不動産関連システムの開発、導入事例についてご紹介いたします。

不動産業界は社会のDX化が推進される中で、依然としてアナログ的な手法に依存している業界です。多くの業務プロセスはFAXなどの紙ベースで行われ、対面でのやり取りが主流でした。物件の情報は主に印刷された資料や広告、店頭の掲示板などを通じて提供され、顧客とのコミュニケーションは電話や対面での商談が中心です。また、契約手続きや書類の管理も手動で行われ、時間と労力を要することが多いのが実情です。

このようなアナログな環境では、情報の共有やアクセスが限られており、透明性や効率性に課題がありました。また、物件の評価や市場分析も直感や経験に頼ることが多く、データに基づく正確な判断が難しい場合がありました。

しかし、今後は近年のテクノロジーの進化に伴い、不動産業界もデジタル化への転換を進める必要があり不動産テックと呼ばれることもあります。

不動産テックには、ビッグデータ、人工知能(AI)、ブロックチェーン、IoT(モノのインターネット)、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの先端技術が含まれます。

そこで今回は不動産テックを推進していくために経営革新計画で不動産システム開発の事例について紹介いたします。

IT企業の不動産ポータルサイトの開発

東京都内でIT企業を経営し、ITコンサルティング・ サービス事業、システム・インテグレーション・サービス事業、アウトソーシング・サービス事業の3つの事業分野があり、システム・インテグレーション・サービス事業の売上比率が高い企業です。別会社で不動産業を経営している企業を保有している企業です。新規事業として、不動産業をターゲット顧客として不動産ポータルサイトの開発。不動産業者に対して初期導入費用、不動産ポータルサイトの月額利用料で収益を上げるビジネスモデルの構築を考えていました。不動産ポータルサイトの実証実験を自社関連の不動産会社で実施して、不動産ポータルサイトの試験実施するという計画内容で、新型コロナウイルス感染症の緩和措置後、外国人の入国緩和措置などで来日する外国人が増え日本への不動産投資が活発になっており、来日する前に不動産を内覧したいという需要が増えることが予測されるため開発に着手しました。

経営革新計画の承認を受けた結果

実際に自社では不動産関連システムの案件を多くこなした経験がなかったのですが、関連会社に不動産会社を保有していたことでシステムの実証実験ができることで経営革新計画の実現性が増した点やAI、AR、VRなどの技術を活用したシステムであり、かつ、IT部門での従業員のIT技術が向上でき、不動産部門との相乗効果が評価されました。経営革新計画の承認制度を活用し、「政府系金融機関による低融資制度」「中小企業信用保険法の特例(東京都制度融資)」を検討中です。これを機に別会社である不動産会社の販売ルートの拡大も期待しているそうです。

不動産会社の不動産管理ツールの開発、導入

東京都内で不動産仲介業(売買、賃貸、管理)を中心に都市開発に関する企画・立案・調査・設計、不動産に関するマーケティング、分析及び、コンサルティング/住宅及び、店舗のリフォーム、住宅設備機器の販売等を行っている企業です。営業、電話、FAXで紙を使っての資料のやりとりなど不動産業界ではアナログな業務がまだまだ主流です。。アナログ業務が主流になっていることで非効率・非生産的な業務による勤務時間の長時間化す傾向にあります。不動産業の業務は多岐にわたり、来客対応やメール・電話対応、物件や顧客情報の管理、内見対応、売り上げ管理などは作業量で賄うしか方法がなくなってしまうため、労働時間が長くなってしまいがちです。そのため、働き手が不動産業に従事することを懸念し人手不足になっている。不動産業界のアナログ業務をデジタル化することで、不動産業界における業務の効率化することで不動産業の活性化出来るだけでなく、不動産を賃貸、購入するエンドユーザーにとっても効率的でより良いサービスが出来ると考え、不動産IT管理ツールを開発して、自社で導入するだけでなく、他のIT企業と連携して販売を行いたいと考えた事例です。

経営革新計画の承認を受けた結果

経営革新計画の承認されたことを機会に「政府系金融機関による低融資制度」「中小企業信用保険法の特例(東京都制度融資)」を検討されています。不動産会社の場合、IT企業と違い、自社で開発することは困難なため、連携先としてIT企業との連携が必要になります。IT企業と違い、自社で開発できるわけではないので設備投資費用も多額になります。融資と並行して補助金申請も検討中されています。既存事業の業務手続の効率化だけでなく、不動産売買、管理、賃貸を行ってきた実績と不動産業界の知見を活かし不動産管理ツールを開発し不動産会社に対して販売するることで、月額利用料を徴収して定期的な収益をあげることで安定収入も期待しているとのことです。

まとめ

今回は、「IT企業の不動産ポータルサイトの経営革新計画」「不動産会社の不動産IT管理ツールの導入と販売」の2つの経営革新計画の承認事例をご紹介しました。私の顧客でもIT企業を経営しながら不動産部門を設置している会社や別会社で不動産会社を経営している企業が多いです。IT企業で不動産関連の業務を行っている場合、ITと不動産の相乗効果が期待できます。

不動産会社の場合、自社でソフトウェア開発難しいため、連携先としてIT企業と打ち合わせをしながら開発、導入を進める必要があります。設備投資もIT企業に比べて多額になることから融資制度や補助金制度を活用しながら事業を進めることをおすすめします。

新規事業として「不動産」関連の業務を考えている方は参考にしてみてはいかがでしょうか。