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経営革新計画の承認と外国人高度人材専門職のポイント加算
新型コロナウイルス感染症により、近年、テレワーク業務の増加により企業のDX化の需要が増えています。
DX化の需要が増加する一方で、日本のIT人材の不足しているのが現状です。経済産業省が公表したデータによると、日本のIT人材数は減少が見込まれ、IT人材の不足は2020年には約36.9万人ですが、2030年までに最大で約78.9万人にIT人材の不足が拡大する可能性があると発表されています。近年、新しいビジネスの担い手として、AI(人工知能)やビッグデータを使いこなし、付加価値の高いビジネスモデルの創出や革新的な技術による生産性の効率化に効率化により寄与できるIT人材の確保が必要不可欠となっています。日本企業が世界と競争する上でも活用が必要ですが、
日本のIT人材不足を解消する方法として、外国人のIT人材を受け入れる方法があります。
外国人の在留資格の中に「高度専門職」というものがあり、在留資格の要件でポイント制になっており70点が必要です。ポイント加算要件の1つに「イノベーションを促進するための支援措置」というものがあり、これが「経営革新計画」の承認が該当します。
当事務所でもIT系企業の方から外国人のIT人材を確保するために「経営革新計画」の承認を受けたいという問い合わせを多くいただいております。今回は、経営革新計画の承認と高度専門職のポイント加算について解説します。
高度専門職とは?
2015年より新設された高度な知識を持ち日本社会に貢献し得ると認められた外国人が持つ高度人材のための在留資格です。例としては、優秀なITエンジニア、研究成果実績のある博士号取得者などが高度人材に該当します。
高度専門職のポイント計算
高度外国人材の活動内容は「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つに分類されています。それぞれの高度外国人の活動内容の特性に応じて「学歴」「職歴」「年収」などの項目ごとにポイントを設け,ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に,出入国在留管理上の優遇措置を与えられます。その中で「イノベーションを「促進するための支援措置」に経営革新計画の承認した企業が該当します。経営革新計画の承認企業に働いている外国人エンジニアはポイント加算の優遇が得られます。
「イノベーションを促進するための支援措置を受けている機関における就労」とは?
イノベーションを促進するための支援措置とは「法務大臣の告示によって定めているもの」になります。大学、研究機関などに所属する研究職や中小企業強化法に該当する企業に従事している者が該当します。その中でも「中小企業強化法に該当する企業に従事している者」が経営革新計画の承認を受けている企業に従事する者に該当します。
イノベーションを促進するための支援措置を受けている機関における就労者のメリット
例えば、IT関連の人材派遣事業を行っている企業で場合、外国人のITエンジニアが所属している企業は優秀なITエンジニアが必須となっています。優秀なITエンジニアを確保することで、顧客に対して高度なIT技術を提案することができます。それにより企業独自の技術提案ができ、企業としての付加価値、生産性が向上できることで、競合他社との差別化が可能になります。
IT系の場合、「人工知能・ビックデータ・IOT・サイバーセキュリティ総合プロイジェクト」が「成長分野における先端的事業に従事する者(法務大臣が認める事業に限る)」の成功分野に該当することで更に10点加算されます。高度専門職は70点が合格点であり、経営革新計画の承認で10点、中業企業で10点、合計20点加算されるので高度専門職ビザを申請する外国人労働者にとってメリットが大きいです。
経営革新計画の承認企業のメリット
①政府系金融機関である「株式会社日本政策金融公庫」において経営革新計画に基づく設備資金及び運転資金について、金利面などで優遇
②金融機関から借入れる資金に関して、信用保証協会の保証限度額の拡大
③信用保証協会の新事業開拓保証の対象となるもの(研究開発費用)について、保証付き限度額を引き上げ
④中小企業投資育成株式会社からの投資
⑤海外展開事業者の支援
⑥特許料減免措置
⑦ものづくり補助金等の加点措置
経営革新計画の承認を受けるには
日本の労働人口が不足している中で、優秀な外国人人材に頼らざるをえないのが現状です。企業が発展していく上では、常に「新事業活動」への取組を行っていく必要があります。この「新事業活動」の取組に対する計画が「経営革新計画」になります。この「新事業活動」の取組を計画しなければ「経営革新計画」の承認申請をすることはできません。
経営革新計画における「新事業活動」には5つの分類のいずれかに該当するものを指します。
① 新商品の開発又は生産
② 新役務の開発又は提供
③ 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
④ 役務の新たな提供の方式の導入
⑤ 技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動
この5つの「新事業活動」の取組に対して「経営の相当程度の向上」を図る計画が必要です。自社として「新事業活動」で「何がやりたいのか?」を自社で検討してみてください。
例えば「AI(人工知能)を利用して新たな商品、サービスを開発したい」など自社にとっての「新事業活動」であれば構いません。
新たな商品開発、新たなサービスを提供する上で、悩みの種は資金面の問題です。
「経営革新計画」の承認を受けることで「日本政策金融公庫の低金利融資」「金融機関融資における保証枠の拡大」「ものづくり補助金の申請時の加点措置を受けることで審査での優遇措置」などの支援を受けることが出来ます。特に「ものづくり補助金」においては、設備投資、知的財産関連経費(特許権・商標権の出願費用など)を申請すれば補助対象経費の1/2~2/3の補助を受けることが出来ます。補助金の交付決定した事業に対して金融機関も前向きに融資を検討してくれる傾向にあります。
また、自社の技術の保護をするために特許権の取得を検討する方もいると思います。特許権取得における審査料などの減免措置を受けることが出来ます。自社の商品、サービスを開発して販売していく上で、「特許権の取得」というのは自社のアピールにも繋がります。特に開発系の事業を受ける上で承認を受けるポイントとして、「商標権」「特許権」等の知的財産取得を前提とした計画であると承認が受けやすくなる傾向にあります。知的財産関連の取得を計画内容に盛り込むようにしてください。
まとめ
今回、経営革新計画の承認の高度専門職のポイント加算についてご紹介しました。経営革新計画の承認は、雇用される高度専門職の外国人の在留資格のポイント加算だけでなく、雇用する側の企業にとっても「新事業活動」の取組に対してメリットがあります。優秀な外国人の高度人材を確保する上でも雇用される側の外国人の高度人材にとっても雇用される企業を選択する上でポイントになると思います。企業にとっても常に「新事業活動」の取組をする上で、優秀な人材を常に登用することが自社の発展にも繋がりますので、優秀な外国人の人材を確保したいと考えている企業の方は経営革新計画の承認をご検討ください。